中学生が不登校に…勉強についていけないとき、親ができること

1. はじめに:不登校の「勉強の遅れ」が気になるあなたへ

「このままで大丈夫なんだろうか」「勉強が遅れてしまって、将来困らないかな」
そんな不安を抱えて、この記事にたどり着いてくださったのではないでしょうか。

お子さんが学校に行けない日々が続くと、どうしても「勉強がどんどん遅れていってしまうのでは」と心配になりますよね。
ましてや中学生となると、学習内容も一気に難しくなり、単元のつながりも強くなってきます。だからこそ、「ついていけなくなったらどうしよう」と思ってしまうのは、親としてごく自然な感情です。

でも、ひとつだけ覚えていてほしいことがあります。
勉強の遅れは、あとからでも取り戻せます。
今の段階で「うちの子はもうダメなんだ」と決めてしまわないでくださいね。

中学生という多感な時期に、不登校という大きな壁に直面しているお子さん。
もしかしたら勉強どころではないほど、心のエネルギーがすり減っているかもしれません。
そんなときに、親御さんが「勉強のことは大丈夫だよ」と安心させてくれることが、何よりの支えになります。

この記事では、不登校のお子さんが「勉強についていけない」と感じているときに、親御さんがどんなふうにサポートできるのかを一緒に考えていきます。
無理のない学習の始め方や、子どもが前を向けるような声かけの工夫もご紹介しますので、どうぞゆったりと読んでいただけたらと思います。


2. 勉強についていけない…子どもが感じていること

不登校の中学生が「勉強についていけない」と感じるとき、その背景には単なる学習の遅れだけでなく、心の葛藤やプレッシャーが潜んでいることがあります。

たとえば、「授業に出ていないから何をやっているのか分からない」「友達はもう進んでいるのに、自分だけ置いていかれている」そんな焦りや孤独を、誰にも言えずに一人で抱えていることもあります。

なかには、プリントや課題を見ただけでフリーズしてしまう子もいます。
「分からない」が積み重なって、「勉強=怖いもの」「できない自分=ダメなやつ」と感じてしまうこともあるのです。
自分なりに頑張ろうとしたけれど、うまくいかなくて「やっぱり無理だった」とあきらめてしまった経験が、心のブレーキになっている場合もあります。

また、「久しぶりに学校に行こうかな」と思っても、「授業についていけなかったらどうしよう」「周りの目が気になる」といった不安が大きくなり、登校のきっかけをつかめずにいる子も少なくありません。

そんなときこそ、親御さんの一言がとても大きな力になります。
「分からないことがあって当たり前だよ」
「急がなくて大丈夫。今の気持ちを大事にしてね」
そう声をかけてもらえるだけで、子どもはほっとしたり、自分を責める気持ちが少し軽くなったりします。

勉強についていけないと感じている背景には、「できないこと」そのものよりも、「できない自分が嫌い」という気持ちがあることが多いのです。
まずは、その子なりに感じているプレッシャーや不安に、そっと寄り添ってあげられるといいですね。


3. 親がしてあげられるサポート

勉強の遅れを気にしているのは、実は子ども自身も同じです。
でも、その気持ちをどう整理して、どう行動に移していいかが分からない。
そんなときに「ちゃんと勉強しなさい」と言われると、ますます心を閉ざしてしまうこともあります。

まず大切にしたいのは、「勉強のことを心配してるんだよ」と伝えるときの伝え方です。
責めるのではなく、「もし困っていることがあったら、手伝えることがあるかもしれないよ」と、あくまでサポートの姿勢でいることが安心感につながります。

また、「どこから分からなくなったのか」を一緒に見てあげるのも効果的です。
「数学の何が難しい?」「英語のどこからつまずいたか覚えてる?」など、問いかけ方を工夫することで、子ども自身が状況を整理しやすくなります。

ただし、「教えてほしい」と言われるまで無理に踏み込む必要はありません。
自分のタイミングで始めたいと思っている子も多いので、まずは「見守ってもらえている」と感じられる関係を保つことがいちばんです。

もし、少しだけでも勉強に向き合う気持ちが見えたときには、その一歩をしっかり認めてあげることがとても大事です。
「今日は机に向かえたんだね」「プリントを開いただけでもすごいよ」そんなふうに小さな行動を見逃さずに言葉にすることで、子どもの自己肯定感が少しずつ回復していきます。

「ちゃんと勉強すること」よりも、「またやってみようかなと思えること」。
それを親子で少しずつ育てていけるといいですね。


4. 勉強の遅れ、どう取り戻す?家庭でできる対策

「そろそろ勉強に手をつけた方がいいかな…」
そんな気配をお子さんから感じたとき、親としてはうまく背中を押してあげたいですよね。
ここでは、家庭で無理なく取り組める学習の方法をご紹介します。

まずおすすめなのは、得意な教科や、好きな単元から始めることです。
勉強が遅れているとき、どうしても「苦手を克服しなきゃ」と思いがちですが、それよりも「できる!わかる!」という小さな成功体験を積む方が、やる気につながります。

たとえば、漢字が得意なら国語の漢字ドリルから。
ゲーム感覚で取り組めるアプリや動画教材など、子どもが「これならできそう」と感じられるツールを活用するのもいい方法です。

次に意識したいのは、スケジュールの立て方です。
時間を区切って「1日15分だけ」など、短く・ゆるく・続けやすくが基本。
最初から「1日2時間!」と意気込むと、うまくいかなかったときに自己否定につながってしまうこともあります。

また、勉強内容の選び方にも工夫が必要です。
市販の教材を使う場合は、学年にこだわらず「基礎の確認ができるやさしめの内容」を選ぶのがポイントです。
「中1だけど小6のドリルから始めた」なんてことも、ぜんぜんありなんです。
年齢より「その子の安心感」を優先してあげることが大切です。

さらに、もし学校の先生とつながれる環境であれば、「今、ここまで進んでいます」という学習状況を聞かせてもらえると、進める目安が見えて安心できます。
ただ、先生との関係性やお子さんの気持ちによっては、無理に情報を取りにいかなくても大丈夫です。

そしてもうひとつ、家庭だけで抱え込まないことも大切です。
親が教えることに限界を感じるなら、家庭教師やオンラインの個別サポートを利用するのも一つの選択肢です。
外部の力を借りることは「頼る」ではなく「工夫」です。
お子さんに合った形を見つけていきましょう。

5. 学校に戻る?戻らない?進路と勉強の両立について

不登校が続いていると、「このまま高校に行けるのかな」「進路に影響が出るんじゃないか」と、将来のことが気になってくる時期があるかもしれません。
お子さん自身も、「学校に戻らなきゃいけないのかな」と心のどこかで思っていることもあります。

ただここで大切にしたいのは、「学校に戻ることがゴールではない」という視点です。
学校に復帰することも選択肢のひとつですが、勉強を続ける道や進学の方法は、ひとつではありません。

たとえば、通信制高校やサポート校、オンラインでの学びを軸にした進学ルートも年々整ってきています。
また、高卒認定試験(昔でいう大検)を経て大学に進学する道もありますし、最近は総合型選抜(旧AO入試)など、自分らしさや経験を重視する入試も増えています。

学校に行けない期間があること自体が、「進路に不利になる」と決まっているわけではありません。
むしろ、不登校という経験を通して何を感じたのか、そこからどう歩んできたのかが、自分らしさとして活きてくることもあります。

また、登校を再開したいと考えている場合でも、「いきなり毎日通う」ことにこだわらなくて大丈夫です。
保健室登校、別室登校、部分登校など、学校によってさまざまな受け入れ方があります。
大事なのは、お子さんの気持ちとタイミングを最優先することです。

そして、進路や学びの選択肢を考える上で、親御さんができることは、「いろんな道があるんだよ」とやさしく伝えてあげることです。
「今のあなたのままで、大丈夫だよ」
そのひとことが、子どもの未来への不安をそっとほぐしてくれることがあります。


6. 勉強への抵抗感が強いときの対応

「プリントを見ただけでイライラしてしまう」
「勉強の話をすると黙り込んでしまう」
そんなふうに、勉強そのものに強い拒否感がある場合、無理に学習をすすめようとすると、かえって心を閉ざしてしまうことがあります。

これは、単に「やりたくないから」ではなく、過去の経験が原因になっていることが多いです。
たとえば、授業で分からなかったのに誰にも言えなかったり、テストで思うようにいかずに自信をなくしてしまったり。
そんな体験の積み重ねが、「どうせ自分はできない」「やっても意味がない」という思い込みを生んでしまうことがあります。

そういった状態のときに、いちばん大切なのは、気持ちの回復を優先することです。
「いまは、やる気が出なくてもいいよ」「勉強しなくても、あなたの価値は変わらないよ」
そんな言葉が、子どもの心にしっかり届くと、少しずつ安心していけるようになります。

また、勉強という形にこだわらず、好きなことや得意なことに取り組む時間を増やすのも効果的です。
料理、絵、ゲーム、読書、アニメなど、どんなものでも構いません。
自分に自信を持てるような体験を通じて、「自分にもできることがある」と思えるようになると、やがてそれが勉強への自信にもつながっていきます。

もし、どう関わっていいか分からないときは、第三者の力を借りるのもひとつの手です。
家庭教師やカウンセラー、不登校支援に理解のある教育機関などに相談することで、親だけでは気づけなかった糸口が見つかることもあります。

子どもが「もう一度やってみようかな」と思える日は、ある日ふっとやってきます。
それまでは、「あなたが大事だよ」「そのままで大丈夫だよ」と伝え続けていくことが、何よりのサポートになります。


7. まとめ:子どもが前を向くには、安心が土台になります

不登校の中学生が「勉強についていけない」と感じたとき、親としては「なんとかしてあげたい」と思うものです。
でも、焦れば焦るほど、うまくかみ合わなくなることもあるのが、この時期のむずかしさですよね。

大切なのは、勉強の遅れを取り戻すことよりも、子どもが安心して過ごせる土台をつくることです。
安心できる場所があるからこそ、「もう一度やってみようかな」と思える余裕が生まれます。

勉強はあとからでも取り戻せますし、今の日本にはたくさんの進路の選択肢があります。
「学校に行けていない=未来が閉ざされる」わけではありません。
むしろ、寄り道をしたからこそ得られる気づきや強さもあります。

そして何より、子どもにとっていちばん心強いのは、「自分の味方がいる」と感じられることです。
たとえどんな状況でも、「信じて待っていてくれる人がいる」「話を聞いてくれる人がいる」
それだけで、子どもの中に小さな自信の芽が育っていきます。

もし、今はまだ動き出す様子が見えなくても、大丈夫です。
その子なりのペースで、ゆっくりゆっくり進んでいけます。
今日も親御さんがこの記事にたどり着いて、何かしてあげたいと思ったその気持ちが、すでに子どもにとっては大きな支えになっているはずです。

これからの道のりに、やさしい光が差していきますように。
どんな小さなことでも、できることから始めていきましょう。

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