1. はじめに:その「やる気のなさ」、親御さんのせいじゃありません
「うちの子、全然勉強しようとしなくて…」
「不登校なだけでも心配なのに、勉強まで止まってしまっていて焦ります」
こんなふうに悩まれている親御さん、とても多いです。
目の前で元気のないお子さんを見ていると、つい「このままで大丈夫なのかな」と不安になってしまいますよね。
でも、ひとつお伝えしたいのは
お子さんがやる気を出せないのは、親御さんの関わり方が悪いせいではないということです。
人は、疲れているときや傷ついているとき、元気が出ないのが自然な反応です。
勉強への意欲がわかないのは、「怠け」でも「甘え」でもなくて、
まだ心やエネルギーが回復途中であるサインかもしれません。
不登校になると、学校に行っていた頃と比べてまわりとの違いが見えてしまったり、
「何かしなきゃ」と思いながらも動けない自分に自己嫌悪を感じたりと、
お子さん自身も知らず知らずのうちに心が疲れてしまっていることが多いのです。
だからこそ今は、やみくもに「やる気を出して」と言うよりも、
お子さんの中にある“回復の芽”を大切に育てていく時期と捉えてみてください。
このあとお伝えするのは、
不登校のお子さんが少しずつ前を向くために、親御さんができるやさしい関わり方や、
学びのペースを取り戻すためのヒントです。
2. 不登校の子が勉強に向かえない理由とは?
「なんでこんなにやる気が出ないの?」「せめて家で少しでも勉強してくれたら…」
そう思ってしまうのは自然なことです。でも実は、お子さんが勉強に向かえない背景には、いくつかの“理由”が隠れていることがあります。
一見ただ怠けているように見えるその姿も、よくよく見てみると、ちゃんと意味があるんです。
■ 自己肯定感が下がっている
不登校になったことで、「自分はダメなんだ」と思い込んでしまっているお子さんは少なくありません。
勉強を始めようとしても、「どうせできないし」「何をしても意味がない」と、自分を信じられなくなっているのです。
「わからなかったらどうしよう」「また失敗するのが怖い」
そんな不安があると、やる気どころか、机に向かうことすらしんどくなってしまいます。
■ 勉強の遅れが大きくなり、どこから手をつければいいかわからない
学校をお休みする日が続くと、授業の内容もどんどん進んでしまいます。
久しぶりに教科書を開いても「なにこれ、まったく意味がわからない」となれば、ますますやる気は遠のきます。
特に中学生になると、内容が急に難しくなるうえに、予習や提出物のプレッシャーも大きくなります。
いったん離れてしまうと、自力で取り戻すのがとても大変に感じられるのです。
■ エネルギー切れ、心の疲れがたまっている
そもそも、不登校という状態そのものが、大きなストレスです。
周りの目を気にしたり、学校からの連絡にプレッシャーを感じたり、ふとした瞬間に「取り残されてる」と感じたり…。
気づかぬうちに心がすり減ってしまい、頭では「やらなきゃ」と思っていても、身体と心が動かないこともあります。
特に午前中に起きられなかったり、昼夜逆転している場合は、「勉強する以前の問題だ」と親御さんも感じてしまいがちです。
でもこれは甘えではなく、心のブレーキがかかっている状態。まずはその疲れに寄り添ってあげることが大切です。
やる気が出ないのは、気持ちの弱さではありません。
むしろ、お子さんなりにがんばってきた結果、いまは“立ち止まる必要があるとき”なのかもしれません。
次の章では、そんな状態からどうやって少しずつやる気を引き出していけるか、親御さんにできる関わり方をご紹介していきますね。
3. やる気を引き出すには「まず安心感」から
子どもが勉強しない姿を見ると、「このままで将来は大丈夫なんだろうか」と心配になりますよね。
つい、「少しでいいから机に向かってほしい」「やる気を出して」と声をかけたくなることもあると思います。
でも、やる気って、安心感の土台の上に育つものなんです。
気持ちが不安定なとき、自己肯定感が下がっているとき、
人は「やらなきゃ」と思っても行動に移すエネルギーが出てきません。
それは大人でも同じですよね。
たとえば、職場で強く怒られたあとに「さあ仕事がんばろう!」とはなかなか思えません。
まずは誰かに話を聞いてもらったり、気持ちを落ち着けたりする時間が必要になります。
不登校のお子さんにとっては、「家の中に安心できる空気があるかどうか」が、回復のカギになります。
■ 「勉強しなくても、あなたは大切な存在だよ」
これは、ぜひお子さんに伝えてあげてほしいメッセージです。
何もしていない時間も、寝てばかりの日も、
それでも「あなたがここにいてくれることがうれしい」と親が思ってくれていること。
それが子どもにとって、最大の安心になります。
「勉強しなさい」と言われるよりも、「最近ちょっと元気そうだね」と声をかけてもらえるほうが、
子どもの心はずっと軽くなります。
■ 焦りの気持ちを伝えないほうがいい?
親御さんが焦ってしまうのは、とてもよくわかります。
でも、その焦りが伝わると、子どもは「自分のせいで親を困らせている」と感じてしまい、
さらに気持ちが沈んでしまうこともあります。
親が「大丈夫だよ」「今はゆっくりでいいよ」と言ってくれると、
子どもは「そんなふうに思ってくれてるんだ」と、ちょっと安心して、
自分のタイミングで動き出す力が出てきたりします。
安心できる場所があれば、人は少しずつ元気を取り戻していきます。
そして、その「少し元気になってきたタイミング」を見逃さないことが大事です。
4. 親御さんにできる声かけ・関わり方のコツ
安心感が少しずつ育ってくると、子どもはほんの小さなきっかけで前を向くようになります。
でも、「よし、じゃあ今がチャンス!」とばかりに急に勉強の話をすると、また気持ちが引いてしまうこともあるんです。
ここでは、回復の芽をつぶさないために大切にしたい、やさしく背中を押す声かけや接し方のポイントをご紹介します。
■ 勉強にふれない会話を大切に
いきなり「今日は勉強できそう?」ではなく、「最近どう?」「お昼ごはん何食べたい?」といった何気ない会話から始めましょう。
会話の中で“安全な空気”があると感じられると、子どもの気持ちも少しずつほぐれていきます。
親御さんが「勉強しなくていい」と言ってくれることが、逆に「ちょっとやってみようかな」という気持ちにつながることもあります。
■ 小さな前進を見逃さず、ほめる
たとえ5分だけ机に向かえたとしても、「すごいね」「やったね」と声をかけてあげてください。
勉強の内容や量よりも、「自分から動けた」ことを評価してあげることが大切です。
子どもは、そうした経験を通して「やればできるかも」と思えるようになっていきます。
■ 「やる気が出たらいつでも言ってね」
このひと言は、子どもにとってとても安心できるメッセージになります。
「勉強しなさい」ではなく、「やりたくなったときに手伝うからね」と伝えることで、
主導権を子どもにゆだねることができ、強制ではない「選択の自由」が生まれます。
そして実際にやる気が出てきたときに、すぐ動き出せるような環境(教材やサポートなど)を準備しておくと、スムーズにスタートできます。
■ 親がひとりで抱え込まないで
子どもに寄り添う毎日は、親御さんにとっても体力と心のエネルギーが必要です。
いつも笑顔で、いつも理解のある親でいようとするのは、とても大変なこと。
そんなときは、家庭以外にも「見守る大人」がいる環境を取り入れてみるのも一つの方法です。
5. 自分に合った学び方なら、子どもも少しずつ前を向ける
学校の授業についていけなくなったり、まわりのスピードが速すぎて置いていかれたように感じたり。
そうした体験が重なると、子どもは「どうせ無理」「自分には勉強なんて向いてない」と思い込んでしまうことがあります。
でも本当は、「自分に合った方法」や「安心できる環境」であれば、もう一度勉強に向かえる力を持っている子はたくさんいます。
■ 一斉授業が合わなかっただけかもしれない
学校では、決められた時間に、決められた内容を、全員が同じペースで学びます。
そのスタイルが合う子もいれば、どうしても合わない子もいます。
質問しづらい、わからないまま進んでしまう、授業が速すぎる…。
こういった苦手意識から、勉強に対するやる気を失ってしまうケースはとても多いです。
でも、学び方はひとつじゃありません。
自分のペースで進められる、わかるまで何度でも聞ける、誰かと比べられない。
そんな環境があれば、子どもはまた少しずつ「やってみようかな」という気持ちを取り戻していきます。
■ 「安心して学べる場所」があるだけでちがう
たとえば、「間違えても怒られない」「笑われない」「答えられなくても責められない」。
そんな環境であれば、子どもは肩の力を抜いて取り組めるようになります。
とくに不登校の子どもにとっては、「この人となら安心して話せる」「ここなら自分のペースでできる」と思える存在がいることが、何よりの支えになります。
■ 勉強=つらい、ではなくなる瞬間をつくる
「勉強=つらいもの」だった子が、たとえば「この先生の説明、ちょっとおもしろいな」と感じたり、
「わかるって気持ちいいかも」と思えたりしたとき。
そんな小さな経験の積み重ねが、「またやってみよう」という前向きな気持ちにつながります。
そしてそれが、やる気の回復だけでなく、自己肯定感の回復にもつながっていくのです。
6. オンライン家庭教師という選択肢
お子さんが安心して、無理なく勉強に向かえる場所を探している親御さんにとって、オンライン家庭教師という選択肢はとても心強いものになります。
「家庭教師」というと、部屋に来てもらってマンツーマンで教えてもらうイメージが強いかもしれませんが、
いまはパソコンやタブレットを使って、自宅にいながら画面越しに指導を受けられるスタイルが増えてきています。
とくに不登校のお子さんにとっては、教室という空間に戻る前に、まず“家の中で学び直す”ことができるこの形が、とてもフィットすることがあるのです。
■ 家から出なくていい安心感
「今日は気分がのらないから無理」という日も、家にいればすぐに対応できます。
移動のストレスがないので、体調や気分の波があっても取り組みやすくなります。
また、顔出しNGでもOK、チャット中心のやりとりから始めるなど、柔軟な対応ができる先生もいます。
お子さんのペースや性格に合わせたスタートが切れることが、オンライン家庭教師の大きな魅力です。
■ 信頼できる大人との関わりが、やる気の火種になる
親とはちがう立場で、お子さんに寄り添ってくれる大人がひとりいるだけで、子どもの表情が変わることがあります。
「自分の話をきちんと聞いてくれる人がいる」
「わからないところをバカにせずに教えてくれる人がいる」
そんな存在がいると、子どもは自然と心を開き、少しずつ自信を取り戻していきます。
家庭教師は、ただ学習を教えるだけでなく、子どもにとっての「安心できる居場所」になることもあるのです。
■ 保護者の方の負担もやわらぐ
毎日の声かけ、生活リズムの管理、将来への不安…。
不登校のお子さんを見守る親御さんには、本当にたくさんの役割がありますよね。
オンライン家庭教師を取り入れることで、親御さんが勉強の不安から少し解放されることも大きなメリットです。
「家庭以外に頼れる大人がいる」ことは、親子関係にとっても良い方向に働くことがあります。
もちろん、いきなり本格的に始めなくても大丈夫です。
まずは短時間から、少しずつ「話してみる」ことからでもOK。
必要があれば、私自身も、体験やご相談から対応しています。
7. まとめ:やる気がないのは「まだ回復途中」だからこそ
「勉強しないと将来が心配」
「このまま何もしない日が続いてしまうのでは」
そんな不安や焦りを感じてしまうのは、どの親御さんも同じです。
でも、やる気が見えない今は、お子さんが“まだ”回復途中であるというサインかもしれません。
心とエネルギーが整ってきたとき、子どもは自分のタイミングで、ちゃんと一歩を踏み出す力を持っています。
そのためには、「やらせる」よりも「信じて待つ」こと。
そして、安心できる人や場所に出会えるようにサポートすることが、親御さんにできる最大の力です。
不登校で、やる気もなくしてしまったように見えるときでも、
その奥には「本当はやり直したい」「誰かにわかってほしい」という気持ちが静かに眠っています。
その気持ちに、無理なく、やさしく火を灯していく方法のひとつとして、
オンライン家庭教師という選択肢も、どうか頭の片隅に置いておいてください。
最後に…親御さんへ
毎日、お子さんと向き合うだけで本当にがんばっていらっしゃいますね。
自分を責めたり、「こんなことでいいのかな」と迷う気持ちが出てくるのも、
それだけお子さんのことを大切に思っているからだと思います。
もし、ひとりで抱えきれなくなったときは、
そっと話せる場所として、私たちのような家庭教師もいます。
ご相談だけでも大歓迎です。
必要なときに、必要なぶんだけ、寄り添える存在でありたいと思っています。


コメント