はじめに:今、悩んでいるお気持ちに寄り添って
「学校にも行けていないのに、家でも勉強しない。このままで大丈夫なのかな……」
そんなふうに、不安や焦りを感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
お子さんが「勉強しない」「勉強なんてできない」と口にすると、親としてはつい心配になりますよね。
「このまま勉強が遅れてしまったら将来は?」「何もしないままで、良くなる日は来るの?」と、頭の中がモヤモヤとざわついてしまうこともあると思います。
でも、お子さんが勉強しないのは、単にやる気がないからとは限りません。
「できない」「やる気が出ない」――その背景には、心の疲れや自信のなさ、見えない不安が隠れていることがよくあります。
この記事では、不登校のお子さんが「勉強しない・できない」と感じているときに、親としてどのように向き合えばよいのかを、ていねいにお伝えしていきます。
あせらなくても大丈夫です。
まずは、お子さんの今の気持ちに寄り添いながら、一緒に考えていきましょう。
2. 不登校の子が「勉強しない」「できない」と言うときの本当の気持ち
不登校の子どもが「勉強しない」「もう無理、できない」と言うとき、
それは単に“勉強が嫌い”というだけではないことが多いです。
中には、本当は「やらなきゃ」と思っている子もいます。
でも、心が疲れていたり、自信をなくしていたりすると、勉強に向かうエネルギーそのものが湧かなくなるんです。
たとえば、
- 「どうせやってもわからないし」
- 「全然勉強してないから今さら追いつけない」
- 「頭が悪いって思われたくない」
そんなふうに、自分を守るために“やらない理由”をつくっている場合もあります。
そしてその裏には、「できなかったら怖い」「バカにされたらイヤだ」という、とても繊細な気持ちが隠れていたりするのです。
また、「できない」と言っているときは、本当にわからなくなっているだけでなく、
「どうせ言ってもわかってもらえない」「やらなきゃいけないって言われるのがイヤ」という、親子のやりとりそのものへの疲れが出ている場合もあります。
子どもなりに、いろいろと感じて、悩んで、葛藤していることも多いのです。
だからこそ、まずは「やらない」「できない」という言葉の奥にある気持ちを受け止めてあげることが、とても大切になります。
3. 親が焦る前に知ってほしいこと
お子さんが学校に行けず、家でも勉強しない様子を見ると、親としてはつい不安になりますよね。
「このままで取り返しがつかなくなるんじゃないか」「早く勉強を再開させなきゃ」
そう思ってしまうのは、とても自然なことです。
でも――焦りの気持ちは、子どもにとってプレッシャーになりやすいものです。
「なんでやらないの?」「少しは勉強してほしい」
そんな声かけも、悪気がなくても子どもには「責められている」と感じられてしまうことがあります。
今、お子さんにとっていちばん大事なのは、心が休まること・安心できることです。
不登校になったばかりの頃や、長期間外と接していない状態では、
子ども自身も疲れていたり、自信を失っていたりすることが多いです。
そういうときに「さあ、勉強しよう!」と言われても、心と頭がついていかないんですね。
むしろ、「今日は机に向かう気になれた」「動画でちょっと勉強系を見てみた」
そんな小さな行動こそが、大きな一歩なんです。
「まだできることは少ないかもしれない。でも、それでいい」
そんなふうに、“今の子ども”を肯定してあげることが、次の一歩を生む力になります。
焦らなくて大丈夫です。
親御さんの安心が、子どもの安心につながっていきます。
4. 「勉強しようかな」と思えるきっかけづくり
不登校の子どもが、自分から「勉強しようかな」と思える瞬間って、実はとても貴重です。
でもそのきっかけは、無理やり言わせるものではなく、自然に芽生えるものだったりします。
そのためには、小さな「できた」を積み重ねることがとても大事です。
たとえば、
- 「今日は5分だけやってみた」
- 「漢字を1つ書けた」
- 「ちょっとだけ動画を見てみた」
そんなちょっとしたことでも、「やってみた → できた!」という感覚を本人が感じられると、
「もうちょっとやってみようかな」と次の行動につながっていきます。
また、始めるきっかけとして有効なのが、本人の「興味」や「得意」なものを活かすことです。
たとえば、
- アニメが好きなら、アニメのセリフで漢字や英語にふれる
- ゲームが好きなら、クイズ形式のアプリで「遊び感覚」で触れる
- 文章が苦手なら、まずは音声や映像で「聞く」ことから始める
このように、勉強っぽくないところからゆるやかにつなげていくことで、抵抗感がやわらぎます。
また、勉強内容を親が一方的に決めるのではなく、
「どれからやってみたい?」「これはどう思う?」と本人に選ばせてみるのも効果的です。
「自分で決めたことだからやってみよう」と思えると、自発性が生まれやすくなります。
「やらせる」ではなく、「一緒に探す」「応援する」
そんなスタンスが、子どもの中にある“ちいさなやる気の芽”を育てていきます。
5. もし勉強の進め方に悩んだら
「少し勉強してみようかな」という気持ちが芽生いても、いざ始めようとすると
「何からやればいいのかわからない」
「全然ついていけないから、やる気がなくなる」
と、途中でつまずいてしまう子も少なくありません。
とくに長く学校から離れていた子は、「今さら無理」と思い込んでいることもあります。
そんなときは、スモールステップでの学習を意識すると気持ちがラクになります。
◎ まずは“教材を開くだけ”でもOK
- 勉強の本を開く
- 勉強系のYouTubeを少し見る
- 1問だけアプリで解いてみる
それだけでも、立派な一歩です。
「できた」「やれた」を実感できることで、次につながります。
焦ってたくさんやろうとするより、「少しだけでも前に進めた」という感覚が大切です。
◎ 合わない教材は使わなくても大丈夫
- 学校の教科書にこだわらなくてOK
- 「難しすぎて嫌になった…」は、モチベーションの敵
- お子さんの今のレベルに合ったやさしい教材を探しましょう
「これは自分にもできるかも」と思える教材に出会えたとき、やる気は自然と出てきます。
◎ 個別対応で「自分専用」の進め方を見つけるのも一案
- オンライン家庭教師や個別指導では、本人のペースに合わせて学べる
- 一斉授業と違い、「どこからやる?」を一緒に考えてくれる安心感
- 「間違えても大丈夫」と思える環境が、やる気の土台になる
お子さんが「ひとりでやるのは無理」と感じているようなら、誰かと一緒に取り組む形が心の負担を減らしてくれるかもしれません。
6. 家庭ではどんな声かけがいい?
子どもが勉強に対して消極的なとき、親としてはつい言いたくなってしまう言葉があります。
「そろそろ勉強しないと」
「このままでいいの?」
「やればできるんだからやりなさい」
どれも、お子さんの将来を思うからこその言葉です。
でも、子どもが心に余裕をなくしているときには、かえって逆効果になることもあります。
「わかってるのにできないんだよ」
「どうせまた怒られる」
と、自分を否定されたように感じてしまい、さらに閉じこもってしまうケースもあるんです。
では、どんな声かけが効果的なのでしょうか?
ポイントは、「安心」と「尊重」をベースにした言葉選びです。
◎ 心に届くやさしい声かけの例
- 「やらなきゃ、じゃなくて“やってみようかな”って思えたらそれでいいよ」
- 「今はちょっと休む時間かもしれないね」
- 「わからないって言ってくれてありがとう。そう言ってくれた方がうれしいよ」
- 「どこからやろうか、一緒に考えてみようか」
これらの声かけには、「あなたの気持ちを大事にしてるよ」というメッセージが込められています。
特に不登校の時期は、周囲と比べられることや“できていない自分”への不安を、本人が一番強く感じています。
だからこそ、家庭の中だけは“安心できる場所”であることがとても大切です。
親が子どもにかける言葉は、プレッシャーにもなれば、支えにもなります。
焦らせるより、「あなたのままで大丈夫」と伝えるほうが、結果的には前向きな行動につながることが多いです。
7. 本人に合った学び方を探すには
「勉強しない」「できない」と言っている子どもにとって、
一番つらいのは「まわりのペースに合わせること」かもしれません。
学校の授業は、一定のスピードでどんどん進んでいきます。
途中でつまずいても、止まってはくれません。
そんな中で「自分はもうムリだ」と感じてしまった子は、勉強そのものに苦手意識を持ってしまうことも多いです。
だからこそ大事なのは、「本人のペース」で学べる方法を見つけることです。
◎ 自分に合ったペースで、少しずつ
- 「一日5分だけ」から始めてもいい
- 「好きな科目だけ」「好きな形式だけ」でもOK
- 毎日じゃなくても、週に1回でも「やってみよう」があれば十分
誰かと比べる必要はありません。
“本人が前向きに取り組める形”こそが、その子に合った学び方です。
◎ オンライン家庭教師という選択肢
不登校のお子さんには、オンラインでのマンツーマン指導が相性のよいケースもあります。
- 通学の必要がなく、自分の部屋で安心して受けられる
- 周囲の目を気にせず、わからないところを何度でも聞ける
- 一人ひとりのペースに合わせて進められる
- 学校の進度にとらわれず、「自分のための勉強」ができる
また、対話を大切にした指導なら、ただ教えるだけでなく、気持ちの面でも支えてもらえることがあります。
「わからないって言っていいんだ」
「この先生なら大丈夫かも」
そう思える存在がいるだけで、勉強へのハードルはぐっと下がります。
お子さんが「自分でもできそう」と思える学び方に出会えたとき、
少しずつでも前に進もうとする力が生まれてきます。
“勉強そのもの”よりも先に、「自分に合った方法」を見つけることが、なによりの第一歩です。
8. まとめ:勉強は、元気になってからで大丈夫
お子さんが「勉強しない」「できない」と言うとき、
親としてはつい不安になってしまうものです。
でも、勉強よりもずっと大切なのは、お子さんの心が元気でいることです。
不登校の時期は、エネルギーが落ちていることが多く、
「やらなきゃ」と思っていても動けなかったり、「どうせ無理」と思い込んでしまったりします。
そんなときに必要なのは、**がんばらせることではなく、“待つこと”と“安心を届けること”**なんですよね。
子どもにとって、家庭が「安心できる場所」になっていれば、
少しずつでも「やってみようかな」という気持ちが生まれてきます。
焦らなくて大丈夫です。
今は、心を整える大事な時間かもしれません。
そして、元気が少しずつ戻ってきたら、またその子に合った学び方で進めていけばいいのです。
「大丈夫、あなたにはあなたのペースがあるよ」
そんな言葉をかけてもらえることが、子どもにとっては何よりの支えになります。
もし、「うちの子にはどんなサポートが合っているんだろう?」と悩まれたら、
個別の学び方や関わり方について、一緒に考えることもできます。
よろしければ、オンライン家庭教師という選択肢もご検討くださいね。
お子さんに合ったやり方で、安心して一歩ずつ進んでいけますように。

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