1. 「先生が怖い」と感じるのは、おかしなことではありません
「先生が怖い」と感じたとき、多くの子が「こんなことで怖がっているのは自分だけかもしれない」と不安になります。でも、それはとても自然なことですし、決しておかしなことではありません。
怒られた経験がなくても、「声が大きい」「表情がこわばっている」「いつもイライラしているように見える」といった理由で、無意識に緊張してしまうことがあります。
また、自分が怒られていなくても、友達が叱られている様子を見て、「自分もあんなふうに言われるのかな」と不安になってしまうこともあります。こういった気持ちは、心が敏感に反応しているサインです。
「怖い」と感じる理由は人によってさまざまですが、そのどれもが間違っているわけではありません。
まずは、「怖いと感じた自分」を責めずに、そのまま受け止めてあげてほしいと思います。
2. 怖いと感じるのには、ちゃんと理由があります
「なんでそんなに怖がるの?」「先生も悪気があるわけじゃないよ」
そう言われても、自分の気持ちにうまく説明がつかなくて、もやもやしてしまうこともあるかもしれません。
でも、「先生が怖い」と感じるときには、たいてい理由があります。たとえば――
- 授業中に急に名前を呼ばれて、答えられなかったときに注意されたことがある
- わからないことがあっても、質問すると怒られそうな気がして黙ってしまう
- 何も言われていないのに、目つきや声のトーンがこわくて、体が緊張してしまう
- いつも他の子ばかり注意している先生で、自分も怒られそうで不安になる
こういった「怖さ」は、ただの思い込みではなく、心が「ここは危ないかも」と感じているサインでもあります。
本人にとってはとてもリアルな感覚なので、無理に打ち消そうとしなくて大丈夫です。「理由がわからないけど怖い」と思っている場合も、それはそれでちゃんとした「気持ち」です。
まずは、「そう感じる自分はダメなんだ」と思わないことが、とても大切です。
3. 先生が怖いと、学校がつらくなってしまうことも
「先生が怖い」と感じていると、毎日の学校生活が少しずつ苦しくなってしまうことがあります。
朝、登校の時間が近づくにつれて、お腹が痛くなったり、気持ちが沈んで涙が出てきたりする子もいます。頭では「行かなきゃ」と思っていても、体がうまく動かない――そんなこともあるかもしれません。
また、教室にいても先生の動きや声が気になってしまい、授業に集中できなかったり、ずっと緊張していたりすることがあります。
「またあてられたらどうしよう」
「わからないことを聞いたら怒られるかも」
「昨日注意されたことをまだ気にしているかも」
こんなふうに、ずっと気を張っていると、心も体も疲れてしまいますよね。
「先生が怖い」
たったそれだけのことに見えても、実は子どもの中ではとても大きなストレスになっていることがあります。
学校がつらく感じるのは、決して気のせいではありません。
無理にがんばろうとする前に、「いま苦しいんだ」という気持ちに、まず寄り添ってあげることが大切だと感じています。
4. 無理にがんばろうとしなくて大丈夫です
先生のことが怖いと感じていても、「ちゃんと通わなきゃ」「がんばらなきゃ」と思って、自分にムリをさせてしまう子もいます。
中には、「先生に怒られたのは自分が悪いからだ」「私がもっと頑張れたらよかったんだ」と、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
ですが、本当にそうでしょうか?
先生と合わない、怖いと感じてしまう――それは、心の感じ方の問題であって、「がんばりが足りないから」とは限りません。
むしろ、怖いと思いながらも学校に行こうと努力していた時点で、もう十分がんばっていたのだと思います。
「がんばりたいけど、どうしても怖くて動けない」
そんな気持ちは、決して甘えではありません。
無理に「大丈夫なふり」をしたり、「平気な顔」で通おうとしなくてもいいんです。
まずは、「怖いと思っている自分」をそのまま認めて、心がほっとできる時間をつくることが大切です。
もし今、学校がつらくて一歩が踏み出せないとしても、それは“立ち止まるべきとき”なのかもしれません。
がんばるよりも、心を守ることのほうが大事な場面もあるのです。
5. 今すぐできる、気持ちをラクにするためのヒント
先生が怖いと感じているときは、無理に「克服しよう」と思わなくても大丈夫です。
まずは少しでも気持ちがやわらぐように、できることから少しずつ試してみてください。
ここでは、心がラクになるためのヒントをいくつかご紹介します。
●「怖い」と思っている気持ちを、誰かに伝えてみる
言葉で伝えるのが難しいときは、ノートやスマホのメモに書いてもOKです。
「○○先生が怖い」「学校に行くのがしんどい」――そう書くだけでも、少し気持ちが整理されます。
もし信頼できる大人が近くにいたら、思いきって話してみてください。
言葉にしたとき、思っていたより安心できることもあります。
●つらい日は、お休みしても大丈夫
「毎日通わなきゃ」と思っていても、体も心も限界を迎えている日だってあります。
そんなときは、いったんお休みして、自分のペースを整えていくことが大切です。
学校に行けない=ダメ、ではありません。
まずは、自分が安心できる場所で、心を落ち着けていきましょう。
●勉強が気になるときは、家でもゆるく始めてみて
「学校に行けていないのに、勉強どうしよう」と不安になる子も多いです。
でも大丈夫。今は“ちゃんと”じゃなくて、“ちょっとずつ”でOK。
たとえば、好きな教科のドリルを1問だけやってみる、動画で解説を聞いてみる、オンラインでやさしい先生と話してみる、など、安心できる方法はいろいろあります。
「怖い」気持ちを抱えたままでも、ゆっくり前に進める道はあるんです。
少しでも気持ちが軽くなるように、今の自分に合ったペースで過ごせるように、ヒントとしてお役立ていただけたらうれしいです。
6. 先生がみんな怖いわけではありません
今の先生が怖いと感じているとき、「もう先生なんて全員怖い」「誰にも近づきたくない」と思ってしまうことがあるかもしれません。
それくらい、ひとりの大人との関係が心に与える影響は大きいものです。
でも、世の中には本当にたくさんの先生がいて、全員が同じような態度をとるわけではありません。
声のトーンがやさしい先生、話すスピードがゆっくりな先生、子どもの気持ちをじっくり聞いてくれる先生――そういった方たちもたくさんいらっしゃいます。
今の環境では出会えていないかもしれませんが、別の場所やタイミングで「この先生なら安心できそう」と思える出会いがあることも、けっして珍しくありません。
たとえば、家庭で学べるオンラインの学習サポートなどを通して、「怖くない先生」と関わることからスタートする子もいます。
「先生ってみんな同じじゃないんだ」と気づけたとき、少しだけ心がほぐれるかもしれません。
今はまだ怖さが強くても、いつかきっと、「大丈夫」と思える大人に出会える日が来ます。
そのときまでは、「今の自分にとって安心な距離感」を大切にしていただけたらと思います。
7. おわりに:気持ちを大事にしていいんです
「先生が怖い」――その気持ちは、決して間違っているわけではありません。
まわりの人に理解されなかったとしても、自分の中では確かに存在している、大切な感情です。
怖いと感じたとき、無理に平気なふりをしなくていいんです。
「どうしてそう思ったのか」「何がつらかったのか」、少しずつでかまいませんので、心の中を整理しながら、自分自身の気持ちによりそってみてください。
人と関わることがつらいときは、ひとりで安心できる時間をつくってもかまいません。
元気が出てきたら、少し外の世界に目を向けてみる――そんなふうに、自分のペースで歩いていけるといいですね。
学校だけがすべてではありません。
先生との関係に悩んでいる今も、あなたのことを見守り、応援している人が必ずいます。
まずは、いま感じているその気持ちを、大切にしてあげてください。
それが、次の一歩につながるはずです。

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