こんにちは。家庭教師として不登校のお子さんのサポートをしている佐々木です。
あるお母さんからこんなご相談がありました。

「中1の息子が学校に行けなくなって半年になります。最近、気持ちが少しずつ落ち着いてきたようで、勉強を再開したい気持ちはあるみたいです。でも、どこから始めればいいか分からなくて…特に国語が苦手だったので心配です。」
不登校の間、勉強がストップしてしまうと、親御さんとしてはとても不安になりますよね。特に「国語」は、すべての教科の土台ともいわれる教科ですから、なんとかしてあげたいというお気持ち、よく分かります。
この記事では、不登校の中学生が「国語」をやさしく再スタートできる方法や、ご家庭でできるサポートのコツをお伝えします。
なぜ「国語」から?その理由を3つお伝えします
① 国語はすべての教科の土台になるから
問題文を読み取る、条件を整理する、自分の考えを書く——
こういった力は、どの教科でも必要になります。
国語を通して「読み取る力」や「伝える力」を育てることは、数学や理科、社会の学習にもつながっていきます。まさに“すべての教科の基礎”と言える教科です。
② 心を整えるきっかけになるから
不登校の子どもたちは、心が疲れてしまっていることがよくあります。
そんなとき、国語の教材や本は「気持ちを受け止める居場所」にもなります。
物語に共感したり、詩のことばに癒されたり。
読むことで落ち着いたり、安心できる時間が生まれやすいのが国語のよさです。
③ 勉強っぽくない入り口から始められるから
「いかにも勉強!」という雰囲気は、今の子には少しハードルが高いかもしれません。
でも、国語ならマンガやライトノベル、短いエッセイなど、興味を持ちやすい入り口がたくさんあります。
楽しみながら「読んでみようかな」と思えることが第一歩になります。
「国語ならできそう」その感覚が大切です
無理に頑張らせるのではなく、自然とことばに触れながら少しずつ自信を取り戻していく。
それが、国語という教科のやさしさであり、力強さでもあります。
不登校という経験を経たお子さんにとって、「できた」「わかった」と感じられる体験はとても貴重です。
その最初のきっかけとして、国語はとても相性のいい教科です。
不登校でも安心して取り組める!国語のやさしい勉強法
「教科書」から離れても大丈夫
学校の勉強というと、どうしても教科書や問題集を思い浮かべてしまいますよね。
でも、不登校のお子さんにとっては、それがプレッシャーになってしまうこともあります。
そんなときは、いったん教科書から離れてみましょう。
「楽しい」「読んでみたい」と思えるものから始めることで、自然とことばの世界に入っていけます。
興味のある読み物が、いちばんの教材
国語の入り口は、何も難しい文章でなくていいんです。
たとえば、
- 好きなアニメのノベライズ本
- マンガ(ふきだしの読解も立派な練習です)
- 短い児童書やエッセイ
- 音声付きの読み聞かせアプリやオーディオブック
こうしたものは「娯楽」のように見えて、しっかり読解力や語彙力を育ててくれます。
「読めた」「わかった」という小さな成功体験が、「もっと読みたい」気持ちを育ててくれます。
書くのが苦手でも大丈夫。まずは話してみる
国語というと、感想文や作文のイメージがあるかもしれません。
でも、いきなり書くのはハードルが高いという子も多いです。
そんなときは、書くより「話す」から始めてみてください。
- 「どの場面が好きだった?」
- 「このキャラクター、どう思う?」
- 「わからない言葉、あった?」
このような問いかけを通して、言葉にする力が自然と養われていきます。
話したことをあとから一言メモにするだけでも、立派な勉強になります。
ステップアップの流れ:読む → 話す → 書く
おすすめのステップはこの3段階です。
- 読む:好きな本やマンガでOK
- 話す:読んだ感想や気持ちを口に出す
- 書く:思ったことを短くメモする
いきなり「作文を書いてみよう」ではなく、「この登場人物、なんて言いたかったんだろうね?」のような会話から始めると、抵抗感がぐんと減ります。
「今日はこれだけ」でOK。無理せず続けることがコツ
調子のいい日は数ページ読めたかもしれません。
でも、疲れている日は1ページも開けないこともあります。
そんな日も、「今日は表紙だけ見たね」「1行だけ読んだね」と、できたことを認めてあげてください。
大切なのは「毎日たくさんやる」ことではなく、「自分のペースで続けられる」ことです。
必要なら、今の状態に合った教材やアプリを一緒に探すこともできます。
「家庭での取り組み方が分からない」と感じたら、専門の家庭教師や支援者の力を借りるのも一つの方法です。
お子さんの気持ちを尊重しながら、ゆっくり少しずつで大丈夫ですよ。
やる気が出ない時はどうする?勉強再開のコツ
「やらせる」より、「やってみてもいいかな」の空気づくり
不登校の子どもたちによくあるのが、「やりたい気持ちはあるけど、動けない」という状態です。
これは決して怠けているわけではなく、「できなかったらどうしよう」「また怒られるかも」といった不安やプレッシャーが背景にあることが多いです。
そんなときに「いいからやりなさい」と言われてしまうと、心がさらに閉じてしまうこともあります。
まずは、勉強を再開するための「安心できる土台」をつくっていくことが大切です。
小さくていい。「できた」が感じられる目標を
やる気が出ない日ほど、「今日はこれだけでいいよ」とハードルを下げてあげましょう。
たとえば、
- 本の表紙を見るだけ
- 好きな言葉を1つメモする
- 音読を1分だけしてみる
そんな小さなことでも、「できたね」と声をかけてもらえると、少しずつ自信につながります。
「全部できた日」よりも、「今日は1行だけでも進めた日」の積み重ねのほうが、勉強を続ける力になります。
声かけのコツは、「評価しない」「選ばせる」
勉強をすすめるときの声かけには、ちょっとしたコツがあります。
たとえば、
- 「今日は読むのと書くの、どっちがいい?」
- 「この中で興味あるお話、選んでみる?」
- 「気になるところがあれば、そこだけで大丈夫だよ」
選択肢を与えて、自分で選べる環境をつくることで、勉強に対する主体性が育ちます。
また、「なんでできなかったの?」ではなく、「今日の調子はどう?」という声かけのほうが、子どもは安心して向き合いやすくなります。
休んでもいい。でも、あきらめなくていい
やる気が出ない日は、休んでかまいません。
勉強を再開するには、心のエネルギーが必要です。
お子さんが「ちょっとやってみようかな」と思えるようになるまで、焦らず見守ってあげてください。
その「やってみよう」が出てきたとき、すぐに応援できるように、あたたかい環境を整えておくことがいちばんのサポートになります。
親ができるやさしいサポートのしかた
教えるよりも、「一緒に楽しむ」気持ちで
「私が国語を教えないといけないのかな」
「間違いを指摘したほうがいいのかも」
そんなふうに考えて、プレッシャーを感じている親御さんも多いと思います。
でも実は、お子さんにとっていちばんうれしいのは、「勉強の時間を一緒に過ごしてくれること」なんです。
たとえば、
- 同じ本やマンガを読んで「このキャラ好きかも」と話してみる
- クイズのように言葉遊びをしてみる(例:「”しりとり”で名詞だけ」など)
- 短い詩や言葉を読んで、「どんな気持ちだった?」と軽く感想を聞く
こういったやりとりは、「勉強」と思わずにことばに親しむ時間になり、お子さんの安心感にもつながります。
無理に「やらせる」より、「選ばせる」
やることを押しつけるよりも、「どうする?」と聞いて選ばせることが、勉強への抵抗感を和らげてくれます。
たとえば、
- 「この中で、読みやすそうなのある?」
- 「今読むなら短いのがいい?それとも長くてもいい感じ?」
- 「今日は本とアプリ、どっちにする?」
自分で選んだものだと、「やらされている」感覚が薄れ、取り組みやすくなります。
これは、国語だけでなく、他の教科や日常の習慣づくりにもつながるサポートのしかたです。
成績や過去より、いまの子どもを見てあげる
不登校になってから勉強が進んでいないと、「このままで大丈夫かな」「もう○年生なのに」と焦ってしまうこともあると思います。
でも、お子さんのペースで学び直せることこそが、家庭で学ぶ一番の強みです。
- 「できたこと」に目を向ける
- 「興味を持ったこと」に寄り添う
- 「やってみたい気持ち」を大切にする
この3つを意識するだけで、子どもの表情が少しずつ変わってきます。
親が焦らずにいることが、いちばんの支えに
お子さんが元気な日もあれば、そうでない日もあります。
そんな毎日の中で、親が「今日は読めたね」と笑顔でいてくれるだけで、子どもは安心できます。
焦ってしまう日があっても大丈夫。
その都度立ち止まりながら、また少しずつ歩いていけばいいんです。
勉強のことばかり気にせず、「今日も話せてよかったね」「一緒に笑えたね」といった、暮らしの中の小さな喜びを大事にしていきましょう。楽に取り組めますよ。
家庭学習だけじゃない!こんなサポートもあります
「家だけでなんとかしなきゃ」と思わなくて大丈夫
お子さんが学校に行けなくなったとき、多くの親御さんは「せめて家で勉強を…」と一生懸命になられます。
でも、家で勉強を続けるのは、簡単なことではありません。
親が教えようとしても、反発されてしまったり、うまくいかずに落ち込んでしまったり。
そんな経験をされている方も、少なくないのではないでしょうか。
もし、少しでも「しんどいな」「一人では難しいかも」と感じたら、無理をせず、外のサポートを頼ってみてください。
それは、お子さんにとっても、親御さんにとっても前向きな選択です。
不登校に対応した家庭教師・オンライン学習という選択肢
最近は、不登校のお子さんへの理解が深い家庭教師や、専門のオンライン学習サービスも増えてきました。
特徴としては:
- 学校の進度にとらわれず、本人のペースで進めてくれる
- 心の状態やモチベーションに配慮してくれる
- 家から出なくても安心して学習ができる
- 学習内容だけでなく、話し相手として寄り添ってくれる
国語のように「正解が一つじゃない教科」は、丁寧な対話を通して学ぶのに向いています。
本人に合った先生や方法が見つかれば、勉強に対する見方が少しずつ変わってくることもあります。
通信教材・アプリも使い方次第で力になる
すべての子に合うわけではありませんが、自宅で使える通信教材や学習アプリも、手軽なサポートになります。
おすすめの活用方法は、
- 本人が「使ってみたい」と思えるものを一緒に選ぶこと
- 「完璧にやる」より、「気になったところから」始めること
- 使ったあとに「どうだった?」と話す時間をとること
紙の教材が好きな子もいれば、スマホやタブレットの方が入りやすい子もいます。
合うものを少しずつ探していけば大丈夫です。
支援センターやフリースクールも視野に入れて
お住まいの地域によっては、教育支援センターやフリースクールといった居場所・学びの場もあります。
そこでは、同じように不登校を経験している子どもたちと出会えたり、少人数で落ち着いて学習ができたりすることもあります。
まずは見学だけでも構いません。
「学校とはちがう場所がある」ということを親子で知っておくだけでも、気持ちが軽くなることがあります。
「親子だけで頑張る」から、「誰かと一緒に探す」へ
勉強のこと、進路のこと、子どもの将来のこと…
考えれば考えるほど、不安が膨らんでしまうこともあると思います。
でも、ひとりで抱えなくていいんです。
そして、がんばりすぎなくてもいいんです。
学校でも家庭でもない「第3の場所」や「信頼できる大人」がいることで、親御さんの心にも少し余裕ができます。
その余裕こそが、お子さんにとっていちばんの安心につながっていきます。
お悩み相談:うちの子、国語が苦手で「読まない・書かない・考えない」んです…
こうした声、本当によく聞きます。
「文章を読むのが面倒くさい」
「何を書けばいいか分からない」
「考えるってなにを?」
このように感じているときは、国語そのものに苦手意識があるというより、「間違えたくない」「できなかったらどうしよう」という不安が背景にあることが多いです。
まずは、本人が「話す」ことから始めてみてください。
- 「これ読んでどう思った?」
- 「好きなセリフ、ある?」
- 「主人公の気持ち、どうだったかな?」
こうしたやさしい問いかけを通して、「考える」「言葉にする」練習になります。
まとめ:国語の学び直しは、心の回復と自信の回復にもつながります
不登校で勉強が止まってしまうと、不安や焦りが募ってしまうかもしれません。でも、国語の学びは、いつからでもやり直すことができます。
ことばを通して世界を知ること
誰かと気持ちを共有すること
自分の中にある「わかる」「伝えられる」という小さな自信
それらは、勉強の成果以上に、お子さんの未来を支える力になっていきます。
おうちの方にできるのは、「そばで見守ること」そして「信じて待つこと」です。
もし一人で難しければ、家庭教師などの力を借りることも選択肢の一つです。
大丈夫です。焦らず、一歩ずつ進んでいきましょう。
コメント