先生が怖くて学校に行けない子どもに…親ができるサポートとは?

はじめに:こんな悩み、ありませんか?

「うちの子、最近学校に行きたがらないんです」
そんなふうにご相談を受けることがあります。

不登校のきっかけにはさまざまな理由がありますが、意外と多いのが「先生が怖いから」というものです。

たとえば、

  • 担任の先生が厳しい口調で注意する
  • 怒られるのが怖くて手を挙げられない
  • 些細な失敗をみんなの前で指摘された
    そんな経験が、子どもにとっては大きなショックになることがあります。

でも親から見ると、「それくらいのことで?」と思ってしまうこともありますよね。
学校には厳しい先生もいるし、社会に出ればもっと大変なんだから…そんな気持ちが頭をよぎることもあるかもしれません。

けれど、子どもが「怖い」と感じている気持ちには、それなりの理由があります。
まだ心も言葉も未熟な子どもにとって、先生は圧倒的な存在です。だからこそ、一度怖いと感じると、それがずっと尾を引いてしまうこともあるのです。

この記事では、「先生が怖くて不登校になった子ども」に対して、親としてどんなふうに受け止め、どんなサポートができるのかを、一緒に考えていきたいと思います。


子どもが「先生が怖い」と感じるのは、よくあること

子どもが「先生が怖い」と感じるのは、決して特別なことではありません。
むしろ、どこにでも起こりうる、身近な感情です。

たとえば、こんな場面はありませんか?

  • 授業中にちょっとしたことで注意されて、急に泣きそうな顔になった
  • 他の子の前で叱られたことが恥ずかしくて、固まってしまった
  • 質問されたけれど、答えられなかったことで怒られたと感じた

こうした出来事は、大人にとっては「指導の一環」に見えるかもしれません。
でも、子どもにとっては「自分を否定された」「怖い人に怒鳴られた」と受け取られてしまうことがあるのです。

特に、まじめで空気を読む子、完璧主義の子、繊細で傷つきやすい子ほど、強く恐怖を感じやすい傾向があります。
「怒られる=嫌われた」「もう学校にいたくない」と思い込んでしまうことも少なくありません。

さらに、今の子どもたちは「人前で失敗すること」への抵抗感が強い傾向があります。
学校という集団の中で失敗を指摘されると、その場の恥ずかしさや孤立感が何倍にもふくらんで、「学校=怖い場所」というイメージに結びついてしまうこともあります。

一度そうした感情を抱えてしまうと、心のなかで「怖い先生」がどんどん大きくなっていきます。
ちょっとした一言や視線にも敏感になってしまい、授業中も緊張が抜けず、心が疲れてしまうのです。

ですから、子どもが「先生が怖い」と打ち明けてくれたときには、「そんなふうに感じていたんだね」とまずは受け止めてあげることが大切です。
その気持ちは、甘えではなく、防衛反応のひとつかもしれません。

「怖い」は不登校の引き金にもなる

子どもが「先生が怖い」と感じたとき、すぐに不登校になるとは限りません。
多くの場合、最初は我慢しながら学校に通い続けています。

でも、毎日のように緊張していたり、「また怒られたらどうしよう」とびくびくしていたりすると、心がどんどん疲れていってしまいます。
すると、ある日ぽつんと「今日は休みたい」と言い出すことがあります。

それが単なる「気分の問題」ではなく、「限界が来たサイン」であることも少なくありません。

たとえば、

  • 朝になるとお腹が痛くなる
  • 学校の話をしようとすると涙ぐむ
  • 登校時間が近づくと不機嫌になる
    こうした変化が見られたら、心が「もう無理」とSOSを出している可能性があります。

先生との関係でつまずいた子どもは、「学校に行く=また怖い先生に会う」と無意識に感じています。
この恐怖心は、時間が経つほど大きくなっていき、やがて「学校そのものが怖い場所」になってしまうことがあります。

特に、「叱られるのは自分が悪いせい」と思い込んでいる子どもは、自分を責め続けてしまいがちです。
「迷惑をかけた」「学校に行けない自分はだめだ」と感じることで、ますます心を閉ざしていってしまいます。

また、一度学校を休むと、次に行ったときに先生や友だちから何を言われるかが怖くなります。
「どうして休んだの?」「また来たの?」といった何気ない一言も、本人にとっては大きな不安材料になるのです。

だからこそ、早い段階で「怖い」という気持ちに気づいてあげることがとても大切です。
そして、「無理に頑張らなくていいよ」「あなたの気持ち、大事にしたいよ」と伝えてあげることで、子どもは少しずつ安心を取り戻していけます。

親ができるサポートは「共感」から

子どもが「先生が怖い」と話してくれたとき、親としては驚いたり、戸惑ったりするものです。
中には「それくらいで学校に行かないなんて」「前にも怒られてたじゃない」と、つい口にしてしまった経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

でも、まず大切なのは、「怖かったんだね」と気持ちに共感することです。

子どもが打ち明けてくれたということは、それまで心の中でずっと我慢していた、ということでもあります。
勇気を出して話してくれたその一歩を、大事にしてあげたいですね。

大人から見れば「そんなに怒ってるようには見えなかった」という先生でも、子どもにとっては威圧的だったり、苦手なタイプだったりすることがあります。
「怖がる理由がはっきりしない」と感じるかもしれませんが、感情に正解はありません。

「怒られた自分が悪い」「先生は正しいのに逃げてる」と思い込んでいる子も多いため、まずは「怖いと感じたこと自体を否定しない」姿勢がとても大切です。

たとえば、こんなふうに声をかけてみてください。

  • 「怖かったって思ってるんだね」
  • 「先生に何を言われたのか、教えてくれてありがとう」
  • 「ちゃんと聞くから、ゆっくり話してみようか」

子どもが「話してもいいんだ」「分かってもらえた」と感じると、それだけで少し心が軽くなります。

逆に、「でも先生も悪気はないと思うよ」「それくらい普通だよ」などと返されると、子どもは「やっぱり分かってもらえない」と感じてしまいます。
そうなると、気持ちを話すこと自体をやめてしまうこともあるのです。

親御さんの役目は、子どもを変えることではなく、子どもの味方でいること
「怖い」「行きたくない」という気持ちを、いったんそのまま受け止めてあげることが、次の一歩につながっていきます。

学校とのやりとり、どうする?

子どもが「先生が怖いから学校に行けない」と話したとき、次に悩むのが「学校にどう伝えればいいの?」ということかもしれません。

親としては、先生に伝えることで関係がこじれないか、子どもがさらに気まずくならないかと心配になりますよね。
でも、ひとりで抱え込まず、信頼できる第三者に相談することはとても大切です。

担任の先生に直接言いづらい場合は

まず、学校内で相談できる人は担任の先生だけではありません。

  • 学年主任
  • 生徒指導の先生
  • 養護教諭(保健室の先生)
  • スクールカウンセラー
  • 教頭先生

これらの立場の先生に、「直接の担任とは別に相談したい」と申し出ることは可能です。
実際、保護者の声をもとに配慮がされることもあります。

伝え方のポイントは「感情をおさえつつ、事実をていねいに」

学校に伝えるときは、感情的な表現を避けて、事実を丁寧に伝えることが信頼関係づくりにつながります。

たとえば、

  • 「○月ごろから登校しぶりが続いていて、きっかけを聞いたところ先生のことを怖がっているようでした」
  • 「特に何が怖いのか、まだうまく言葉にできていないようです。もう少し様子を見たいと考えています」

というように、**「今、子どもが感じていること」**を中心に伝えると、受け取る側も理解しやすくなります。

また、「〇〇先生のやり方が悪い」と伝えてしまうと、防衛的な反応を引き出してしまうことがあります。
学校側も対応に苦慮することになるため、できるだけ「子どもの気持ちをどう受け止めてくれるか」という視点で話せるとスムーズです。

配慮してもらえることはある?

学校によって対応はさまざまですが、以下のようなことが配慮される場合もあります。

  • 他の教員がフォローにつく
  • 学校生活を一部免除したり、保健室登校などの提案
  • 面談時に別室で対応してもらえる
  • スクールカウンセラーとの定期面談

もし必要であれば、「クラス替え」「担任の変更」などを検討する学校もありますが、これはタイミングや校内の事情にもよるため、慎重に相談を進める必要があります。


親としては「どうしてこんなことに…」と気持ちが揺れる場面もあると思います。
でも、学校はあくまで協力者。子どもが安心して学べる環境を整えるために、一緒に方法を考えていく関係になれるといいですね。


無理に学校に戻さなくてもいい。学びは守れる

「学校に戻さなきゃ」「このままじゃ勉強が遅れてしまう」
そう思って焦るお気持ち、とてもよくわかります。親としては当然のことです。

でも、子どもが「先生が怖い」と言っている状態で無理に登校を促してしまうと、さらに心が傷ついてしまうことがあります。
大切なのは、学校に戻すことよりも、子どもの心を守ることです。

学校という場所に一度つまずいたからといって、すべての学びが止まってしまうわけではありません。
むしろ、今の時代は「学校以外で学ぶ方法」がたくさんあります。

たとえば、

  • 自宅での家庭学習
  • オンライン学習教材
  • フリースクール
  • 家庭教師

こうした選択肢をうまく活用すれば、子どもに合ったペースで学びを続けることができます。
特に、先生に対して恐怖心がある子にとっては、「安心できる大人に出会うこと」が大きな支えになります。

先生=怖い存在、と心に刻まれてしまうと、子どもはそのイメージをなかなか変えられません。
でも、優しくて受け入れてくれる先生と出会うことで、「先生ってこんなに安心できるんだ」と思い直せることがあります。

それは、学びに対する自信を取り戻すだけでなく、「人と関わることへの信頼」を少しずつ取り戻していくきっかけにもなるのです。

学校に戻すことが最終目標ではなく、子どもが自分らしく学び、自分のペースで成長していけることがいちばん大切です。

もちろん、将来的に学校に戻る可能性があるとしても、まずは安心できる場所で心を落ち着けることから。
焦らず、今できるサポートを重ねていきましょう。

家庭教師という選択肢もあります

「学校には行けないけれど、勉強は続けさせたい」
「でも、集団の塾やフリースクールもまだ不安が強い」
そんなときに検討していただきたいのが、家庭教師という学びの形です。

家庭教師の良いところは、何といっても子どもの気持ちに合わせて学習を進められることです。
たとえば、

  • 怒られない環境で、安心して勉強できる
  • 分からなくても焦らなくていい
  • 一対一なので、まわりの目を気にしなくていい
    こうしたメリットは、学校の人間関係に疲れてしまった子どもにとって、大きな安心材料になります。

特に、「先生が怖い」という経験から不登校になった子にとっては、優しい大人と出会い直す体験が、とても大きな意味を持ちます。

もちろん、家庭教師といっても様々です。
でも、子どものペースや性格に寄り添ってくれる先生と出会えたとき、その学びの時間はただの「勉強」ではなく、心のリハビリのような意味を持つこともあります。

また、最近はオンライン家庭教師という選択肢も広がっており、外に出ることが不安な子でも、お家で学ぶことができる環境が整ってきています。

  • 自分の部屋で、リラックスして授業を受けられる
  • 表情が不安なときは、画面オフからでもOK
  • 最初は短時間からでも始められる

オンラインならではの柔軟さが、はじめの一歩を踏み出す助けになります。

もし、お子さんに合った先生との出会いをお探しでしたら、不登校や繊細な子への対応経験がある家庭教師に相談してみるのもひとつの方法です。

お子さんがもう一度、「学ぶって悪くないかも」「先生って、安心できる人もいるんだ」と思えるような出会いがあれば、それはきっとこれからの自信につながっていくはずです。

おわりに:子どもがもう一度、安心できる大人に出会えますように

「先生が怖い」と感じてしまった子どもの心には、ちいさな傷が残っていることがあります。
それが、不登校というかたちで表れている場合もあります。

でもその傷は、もう一度安心できる大人と出会えたとき、少しずつ癒えていくものです。

親御さんが子どもの気持ちに寄り添い、焦らずに「大丈夫だよ」と伝え続けること。
そして、学校の外にもやさしくて信頼できる先生がいることを子どもが知ること。
その両方がそろったとき、子どもの心はゆっくりと回復に向かいはじめます。

学校に戻ることがゴールではありません。
子どもが自分を大切に思えたり、「やってみよう」と思える力を取り戻すことこそが、本当の意味での前進です。

不登校は決して親のせいではありません。
そして、子ども自身が弱いわけでもありません。
ただ、今の子どもにとって「ちょっと休みたくなるくらい、しんどかった」だけのことです。

そのしんどさをちゃんと受け止めてあげられる大人がそばにいるだけで、子どもは少しずつ元気を取り戻していきます。

わたし自身も、不登校や勉強への不安を抱えるご家庭に寄り添いたいと考えています。
もし今、どこかで立ち止まっているお子さんがいらっしゃれば、無理のないかたちでの学び直しや、やさしい関わりを一緒に考えてみませんか?

子どもがもう一度、「安心して学べる」「この人となら話してみたい」と思える大人に出会えることを、心から願っています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました